高校入試問題 2021年の分析と2022年に向けての対策(3)理科

みなさんこんにちは!塾長です。

当スクールでは開校以来、常に公立高校第一志望校合格率90~100%をキープしています 。

今日からシリーズで2021年春に行われた高校入試についてお話ししたいと思います。

目次

2021年度入試 理科の傾向

 理科の入試は、この数年で大きく変化しつつあります。
 変化のポイントの1つが問題ページ数の増加です。2021年度入試の問題ページ数の平均は1県あたり9.22ページで、14都県で10ページを超えました。
 2つ目のポイントは、会話形式·レポート形式の多用です。前述のページ数の増加もこれが理由です。
 理科の入試は、かつては、用語記述問題や公式にあてはめれば解答可能な計算問題、実験や観察の結果を書く記述問題が主流となっていましたが、2~3年ほど前から用語記述問題は減り、その代わりに実験や観察についての会話やレポートの空所補充をさせる問題が目立つようになってきました。
 記述問題については、実験や観察の“結果”を書かせる問題は減り、“過程”や“考え方”を書かせる問題が多く見られるようになってきました。入試は、知識の定着度合いを測るものではなく、知識の理解や活用のしかたを考えさせるものに変わってきていると言えるでしょう。
 今回は、新傾向の「会話形式·レポート形式」の問題などに着目。次年度以降の入試に向けて、効果的な対策を考えていきます。

どんな問題が出題されている?その対策は?

「会話・レポート形式」問題出題例

ここ数年増加傾向にある「会話・レポート形式」の問題を見てみましょう。

会話・レポート形式出題例

それほど難問ではないのに正答率は低い⁉

 上記3県で出題された問題の正答率は約44~63%となっていますが、会話形式の問題は、問題文の中で解法が誘導されていたり、ヒントが示されていたりすることが多いので、きちんと読めばそれほど難問ではないことに気づくはずです。

 正答率が低い原因として考えられるのが、なんといっても「読解力不足」です。 
 決められた時間内に問題文を読み、内容を理解して設問に答えるということを苦手としている受験生が多数いるのです。

 読解力は国語だけに必要な力ではありません。今や全教科に必要とされています。
 問題演習に取り組む際は、常に時間・スピードを意識して行うことが必要不可欠です。

教科書改訂に伴う注意点

中学理科に新しく追加された事項

①金属のイオンへのなりやすさ 
②ダニエル電池 
③同位体

 これら3点が新たに中学理科の教科書に追加されましたが、当然これまでは高校入試にも出題されていませんでしたので、過去問演習を行うことができません
 学校ワークや問題集などでしっかり演習を行い、対応できるようにしておきましょう。

用語の変更

 化学・生物分野では用語の変更が行われています。

・化学分野 「イオン式」→「化学式」または「イオンの化学式」
・生物分野 「優性形質」→「顕性形質」 「劣勢形質」→「潜性形質」

 最新の教材では用語は改められているはずですが、過去問演習の際は解答が旧用語のままになっている可能性があるので注意が必要です。

新出内容はどんな問題に?

 ダニエル電池の例題を示します。

「ダニエル電池」例題

 教科書によっては、「ボルタ電池」について記述されているものもあります。
 「ダニエル電池」「ボルタ電池」とも、もともと高校での学習内容なので、少し難しく感じるかもしれません。
 演習を繰り返い、しっかり理解を定着させておきましょう。

まとめ

・実験・観察などの「結果」を記述する問題→「過程・考え方」を問う問題へと変化

・「知識の有無・定着度」を測る問題→「知識の理解度や活用の仕方」を問う問題へと変化

・「会話・レポート形式」問題はその文中にヒントが隠されている。文章量に圧倒されずじっくりかつ素早く読む!

・新出分野「金属のイオンへのなりやすさ」「ダニエル電池」「同位体」もしっかり演習しおく!

・変更された用語について、過去問演習の際は注意すること!

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この記事を書いた人

油谷のアバター 油谷 学研CAIスクール三田駅前校塾長

大学卒業後に民間企業で5年間勤務した後、公務員(警察官)として18年間勤務。警察官時代には、韓国での語学留学(その後、通訳・翻訳担当に)、そして中東・クウェートの日本大使館で外交官としての勤務を経験することができました。いつも子供たちを指導しながら、「何のために勉強しているのか」「学んだ先には何があるのか」を、実例を挙げて具体的に示すことを心がけています。

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