生きていくにはもちろんお金が必要です。
学校を卒業して就職すれば給料がもらえます。その範囲内で無駄遣いせずやりくりすれば安心と思えるでしょう。
しかし今後も本当にそうと言えるでしょうか。
残念ながらそう言い切れる状況ではなくなっています。
これには、少子高齢化、経済停滞などの動向が大きくかかわっています。
「お金」に関する課題が数十年前と今では大きく変化していて、現代の若者はこれからもその大きな変化の中を生きていく必要があります。
時代に合った「金融リテラシー」を若いうちから身につけておくべき、そのためには自分事としてお金について学ぶことが必要―
このような考え方から、高校の新たな家庭科の学習内容に「投資」「金融商品」「リスク管理」などの内容が盛り込まれることになりました。
少子高齢化の影響
2019年の日本人の平均寿命は男性81.4歳、女性87.5歳で、これからもますます伸びていくと見込まれます。
会社を定年退職するなどして給与収入がなくなると、多くのの人々は年金に頼って生活することになりますが、少子高齢化により、年金を納める人々の減少、受け取る人々の増加という状況が続いていることから、将来きちんと受け取れるのだろうかという不安を多くの人々が抱いてます。
投資についての正しい理解
家計における金融資産を構成する割合は次のとおりです。
- 「現金・預金」 日本・・・54.2%、米国・・・13.7%
- 「債権・投資信託・株式」 日本・・・14.4%、米国・・・50.8%
預金とは異なり、元本割れリスクを伴う株式などの金融商品は、欧米諸国に比べて日本ではまだまだ馴染み乗るものとはいえません。
これには戦後日本の国による政策が大きくかかわっています。
戦争によって荒廃した社会・経済を立て直すため、金融機関が個人から預金という形で幅広くお金を集め、企業に資金を貸し出すという方法がとられてきました。
戦後から高度経済成長期にいたるまで、日本の人口はどんどん増え続け、需要が拡大しました。
その結果、個人が金融機関に預けたお金には高い利息がつき、国民全体に「預金はいいことだ」という価値観が広がったのです。
では現在もその状況が続いているでしょうか。
残念ながら100万円預金してもおおむね10円ほどの利息しかつきません。
このような状況の中、日本政府が個人の投資を促すべく、売却によって得た利益の税率を優遇するなどの政策をとっています。
日本だけでなく世界の経済は、これまでの長い期間、成長と後退を繰り返して発展してきました。
そしてこの発展は投資なしには成し遂げられませんでした。
もちろん投資にはリスクがありますが、多くの人々が投資をすれば、その資金をもとに企業の活動が促進され、社会発展につながります。
投資は危険なので避けるべきもの、と思い込む前に、投資やリスクに対する正しい認識「金融リテラシー」を、これからの人生が長い10代の頃から学んでおくことこそが必要なのです。