「スキップ」
「ターン」
「リセット」
北村薫氏の小説「時と人・三部作」のタイトルです。
このタイトルを見ただけでは、どん内容なのか見当もつきませんね。
それぞれ、
25年という歳月が「スキップ」~うたた寝をした17歳の女子高生、目が覚めると…自分が42歳の母親という境遇に
繰り返し1日前に「ターン」~交通事故で意識不明に、気がつくと事故前の一日前に戻っている…事故の時間になるとまた同じように一日前に戻されてしまう
思い出が「リセット」~想い合っていた相手が戦死してしまう…戦後、その面影を残す少年と出会う
現実には、一度過ぎ去った時間は二度と戻ることはないし、1日24時間、1年365日という時間は全ての人々に平等に与えられています。
これらの作品は、日ごろ自分たちの意識とは関係なく流れていく「時間」、もしそれが突然に現実にはあり得ない流れ方をしてしまったらどうなるか。
このように書くと少し重い感じがしますが、主人公はじめ登場人物が元気でかわいげのある女性ということもあり、誰にとっても親しみを感じながら読むことができるでしょう。
現実では考えられない不思議な体験をしながら、とても爽やかな読後感を味わうことができました。
作者の北村薫氏は、かつては覆面作家(年齢性別などは非公表)だったので、多くのファンが、若い女性作家が自身の経験をもとに執筆していると思いこんでいた(実際には男性・40歳で作家デビュー)そうです。