なぜ勉強するの?① ~幸せを求めて~

こんにちは!塾長です。

当塾では年に3回、保護者面談を行っていて、間もなく冬の面談の時期となります。

その際、保護者の方に「お子さんになぜ勉強させたいのですか?」という質問をしたことが何度かあります。

目次

子供に勉強させる理由

すると、このようなやり取りとなったことが何度かあります。

塾長

なぜお子さんに勉強させたいと思うのですか?

お母さん

成績を上げて志望校に合格してほしいからです。

塾長

なぜ志望校に合格させたいんですか?

お母さん

将来、ちゃんとした仕事についてほしいからです。

塾長

「ちゃんとした仕事」ってどんな仕事ですか?

お母さん

贅沢はできなくても少し余裕のある給料をもらえて、あまりキツくなくて、それなりにやりがいのある仕事であればなおいいと思います。(※)

塾長

それってつまり・・・

お母さん

自分なりに幸せに生きてくれればいいですね。

そう、親御さんはお子さんに将来、「幸せになってほしい」から、子供のうちに頑張って勉強してほしいと思ってるんです。

そこで、上のお母さんの※印のセリフに着目してみましょう。

・少し余裕のある生活が可能な給料がもらえること
・あまりキツい仕事ではないこと
・やりがいのある仕事であること

将来、このような仕事に就くことが我が子の幸せにつながると考えておられる親御さんが多いのではないでしょうか。

では、「幸せ」って何なのでしょうか。

あまりにも問いが大きすぎるので、幸せにはどんな種類があり、人間はどんなときに幸せを感じるのかを考えていきたいと思います。

幸せには3種類ある

ここでは、人間を幸せを感じさせる3種類にホルモンである、ドーパミン、オキシトシン、セロトニンによって分類します。

ドーパミン的幸福

ドーパミン的幸福は「達成・成功の幸福」と言いかえることができます。

「お金、地位、名誉を手に入れたり、成功、達成を成し遂げたとき」に感じることができます。

テストで良い点を取った時や、志望校に合格できた時、希望の会社に採用された時に感じるのもこの感情でしょう。

この感情は非常に大きな多幸感を伴いますが、獲得にはそこに至るまでの「負担」や「対価」が必要です。

また、達成してからしばらくするとまた次の課題が現れたりして、幸福な感情が長続きしないのも特徴です。

オキシトシン的幸福

オキシトシン的幸福は、「つながりの幸福」と言い換えることができます。

気の合う友人や、学校・職場・サークルなどの仲間、家族などと一緒に過ごしていて、楽しい、面白い、安らぐという感情です。

この幸福感を得るには相手が必要です

他人から嫌われたり、人間関係がうまくいかなくなると当然、非常に不愉快な気分になりますが、それはこの感情が満たされていないことによるものです。

セロトニン的幸福

セロトニン的幸福は、「心身の健康」により得られる幸福です

例えば、きれいな青空を見たときに「いい天気で爽やかだなあ、気持ちいいなあ」などと感じる幸福です。

ドーパミン的幸福と異なり対価や負担を特に必要とせず、オキシトシン的幸福とも異なり相手を必要としません。

天気のいい日に外を歩きながら、「癒される」「リラックスできる」「ホッとする」「すがすがしい」「晴れやか」などと、当たり前のことを幸せだと感じるときにセロトニンが分泌されています

3つの優先順位を間違えては幸せになれない

「3つの幸せ」を挙げましたが、お子さんがなかなか勉強しない、大丈夫かなと悩んでいる親御さんは「ドーパミン的幸福」に目を奪われているのではないでしょうか。

もちろん頑張って勉強し、成績を上げ、将来希望の仕事に就くことを目指すのは大切なことです。

しかし、ここで大切なのは優先順位です。
「セロトニン的幸福」→「オキシトシン的幸福」→「ドーパミン的幸福」の順に積み上げてこそ、人は本当の幸せを手に入れることができるのです。

心身の健康なくして、他者の良好な関係はつくれません。

また、周囲の人々と良好な関係なくしては、学校も部活も苦痛で、良い成績を得るのも難しいでしょう。

では、子をもつ親御さんは具体的にどうすれば良いのでしょうか。

当たり前のことが幸せなんだと言葉にする

例えば、

食事をしながら「おいしいね」「またこれ食べたいね」、

青空をみながら「きれいだね」「気持ちいいね」、

テストが終わったときは「疲れたね」「少しはゆっくりできるね」、

友達と遊んで帰ってきた後は「楽しかった?」「今日も一緒に遊べてよかったね」・・・

などと声をかけてあげてください。

人間関係の悩みを聴いてあげる

お子さんが友達や先生、先輩・後輩などとうまくいっていない、トラブルになっていると気づいたときは、とにかく話を聴いてあげましょう。

そこで注意したいのは具体的なアドバイスを急がないことです。

お子さんにはお子さんの世界があり、普段、家庭で接している親御さんが直接具体的なアドバイスをするのは簡単ではありませんし、そのことはお子さん自身もわかっている場合がほとんどでしょう。

お子さんが悩みを口にしたときは、とにかく聴いてあげてください。

聴くだけでもお子さんの気持ちはかなり楽になるはずです。

また、悩みとは反対に友達のことを褒めたり、いい先生や先輩の話をしたときも、く聞いて、共感の言葉をかけてあげましょう。

「へえ、いい先生(先輩)ねえ!お母さんもそんな先生に習いたかったなあ」などと言ってあげることで、お子さんの幸福感はますます高まることでしょう。

良いことも悪いことも、外での様子を家で話すお子さんは、無意識に共感を求めているのです。

「勉強しなさい」の言葉には愛情をこめて

心身の健康には問題ない、人間関係もうまくいっているようだ。

しかしうちの子はなかなか勉強しない・・・。

冒頭の「給料が良くて、あまりキツくなくて、やりがいのある仕事」に就かせたいのであれば、もちろん勉強することが必要です。

心身の健康や周囲とのつながりだけでなんとかなるものではありません。

これらに問題がなければ、「勉強に集中して打ち込めること」がいかに恵まれていることかを話してあげてください。

心身の状態や人間関係でひどく悩んでいる場合は、まずは話を聞いてあげてから、やはり将来のためには勉強することも必要で、頑張った分、得られる達成感はとても素晴らしいものだということも話してあげるようにしましょう。

まとめ

・幸せには、「ドーパミン的幸福」(達成・成功による幸福)、「オキシトシン的幸福」(他者とのつながりによる幸福)、「セロトニン的幸福」(心身の健康による幸福)の3つがある。

・優先順位は①「セロトニン」→②「オキシトシン」→⓷「ドーパミン」

・お子さんとの関わりで大切なのは、「当たり前の幸せを言葉にする」「悩みはとにかく聴いてあげる」「 将来の成功に向けての努力は、心身の健康と他者とのつながりなしには達成できない」こと。

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この記事を書いた人

油谷のアバター 油谷 学研CAIスクール三田駅前校塾長

大学卒業後に民間企業で5年間勤務した後、公務員(警察官)として18年間勤務。警察官時代には、韓国での語学留学(その後、通訳・翻訳担当に)、そして中東・クウェートの日本大使館で外交官としての勤務を経験することができました。いつも子供たちを指導しながら、「何のために勉強しているのか」「学んだ先には何があるのか」を、実例を挙げて具体的に示すことを心がけています。

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